『バーチャルさんはみている』の話

あけましておめでとうございます。大晦日にでろーんさんとことねさんのヘイブン歌ってみた動画が投稿されて感激した客野です。まあ観たのは年明けてからなんですが。ナナシス、いつの間にかこんなに大きくなって…

 

ヘイブン歌ってみたURL→

https://youtu.be/N8K73cMLbAg

 

さてさて、2019年といえば『バーチャルさんはみている』がとうとう放送スタートされました。絶賛ハードディスクぶっ壊れ中なのでニコニコで観たのですが、いやもう素晴らしかったですね

圧倒的内輪ノリ、なんか的を外したギャグ、滲み出る手作り感…まさしくこれが私が求めていたものでした。いや、言い間違いでも皮肉でも強がりでもなく、本当にこれが観たかったのです。

もちろん、かなりブーイングがあることも把握しています。1番共感できた感想が「キツい」。これは普段Vtuberを観ていて、今回の放送を楽しみにしていた人にも見られたコメントです。おそらく、彼ら彼女らはいつも大好きなVtuberの動画を繰り返し観ているのでしょう。コメントをしたり、時にはスパチャをしたこともあるのかもしれません。でも、周囲の人に布教しようとしてもなかなか伝わらない。アニメとVtuberって近いようで遠いですもんね。だから、今回のアニメ化を絶好の好機と捉え、「絶対に面白いから、1話だけでも絶対に観て!」とか言っちゃったのかもしれません。でもいざ放送を迎えてみると衝撃の展開で、友人からは「お前の好きなVtuberってこんな感じなの?」という戸惑いの声。「ちがう…ちがうんだああああ」と叫びたくなってしまう気持ちは分かります。

 

でも、実は、私は、なんとなくこういう闇鍋的内輪ノリ作品になるんだろうなあ(ていうかなってほしいなあ)と思っていました。そのきっかけがお正月のバーチャルのど自慢です。

 

バーチャルのど自慢の告知→ http://www6.nhk.or.jp/anime/topics/detail.html?i=5195

 

私事になりますが、私は年末年始は、BSのアニソンプレミアム紅白歌合戦でかなり楽しんでいました。豪華な出演者、抜群のパフォーマンス、熱い情熱、等々。そのクオリティはまさに特番にふさわしく、アニソンプレミアムの最後の「アニソン風「蛍の光」ではなんとも言いがたい感動さえ覚えました。いや流石にそれは嘘ですけど。なんだよアニソン風「蛍の光」って。誰が考えたんだよ。

 

まあそれはともかく、年末年始の歌番組の力の入りようというのは読者の皆様もよくご存知のことと思います。

私はその流れでバーチャルのど自慢を年明け、1月2日に観たわけです。

 

観てびっっっっくりしました。

なんだこのぬるさは。

 

詳細に記述する能力が無いので、私がその時感じた感想を言いますが、第一印象は、これ、「本当に」のど自慢じゃんでした。

のど自慢は、公式サイトによると、こんな紹介がされています。

 

NHKのど自慢は昭和21年に「のど自慢素人音楽会」としてスタートしました。毎週日曜日、原則生放送でお送りしています。ハガキで選出されたみなさんが前日の土曜日に予選会に挑み、20組の本選出場者が決定しています。
番組のモットーは 「明るく!楽しく!元気よく」。
中学生以上であれば誰でも応募できます(2015年4月以降)。以上、公式サイトより URL→ http://www6.nhk.or.jp/nodojiman/sp/about/index.html

まあ要するに、アマチュアが、「明るく!楽しく!元気よく」歌う番組です。皆さんも、お昼ご飯を食べながら「あーこの人うまいなー」「え、これで出れるんなら俺も出れるんじゃね?」「今のが鐘ふたつは無いでしょ」とか観てたことだと思います。

ここで重要なのは、基本的にここで歌うのは素人(この言葉が強いなら歌うのが本職ではない人)だということです。そこで求められるのは、プロとしての圧巻のパフォーマンスではなく、どちらかというと我々視聴者に親しみやすい、身近さを感じさせてくれるようなパフォーマンスです。

でも、私は、「バーチャルのど自慢」が開かれると知った時、「圧倒的なパフォーマンス」の方を予想していました。実際、YuNiさん(彼女はVsingerなのでここでは「本職」と言ってよいでしょう)をはじめ、そういうパフォーマンスをした人もいました。

しかし、よく考えてみると、Vtuberのほとんどの方は別に歌うプロではないわけで、歌唱力ではあの中でもトップクラスの道明寺ここあさん(合格の鐘をもらった1人です)だって、コンセプト(便利な言葉…)としては普通の高校生ですからね。

それに、これがより重要な点ですが、ぶっちゃけみんながみんな(アニソンプレミアムや紅白歌合戦に出るアーティストと肩を並べるレベルで)歌が上手いわけではないですよね。もちろん、今回はかなり上手い方を選んで呼んできたのだと思います(だから小田切アナも「こんなに合格者が出るのは通常ののど自慢ではありえない」と言っていたのだと思います)が、それでもやはり、マイク1本で勝負となるとなかなか調子が悪い。

すげえすげえと夢中になって観てきたものの、そういやVtuberというのはまだまだまだまだ若いコンテンツだったなあと、この時に改めて思いました。

でも、それと同時に、このことを考えると、「のど自慢」というのはなんとうまい折り合いの付け方だと唸りました。

変な話、私(たち、といってもいいでしょうか)はVtuberのオタクなので、どれだけ外野が「そんなに上手くないじゃんw」「ガワが可愛いだけでしょ」と言われても、はっきり言ってどうでもいいのです。重要なのは、推しが身近であること推しが楽しそうであること。そしてこれは、のど自慢のモットーとそんなに離れてないんじゃないでしょうか。

思えば、Vtuber(主に親分ですが…)は、これまでバンピーのコンテンツでは、「物珍しいもの」として扱われてきました。それが悪いとはいいません。実際物珍しいんだろうと思います。でも、だからこそ、それを全面に出されるとこっちとしてはいたたまれない気分になるわけです(声優アイドルが地上波の音楽番組に出た時の話はしてないです)。

だったらもういっそのこと、こっち(好きな人)だけが楽しめる空間を作ればいいんじゃないか。私はそう常々思っていました。Vtuberはまだまだ若い(2回目)んだから、まずは地固めをする方がいい、もしくは、地固めをしようとする試みが多少はあってもいい(その境目を微妙に狙っていく試みのうちの1つがくじじゅうじだと思いますが)と思っていました。

 

でも、それは難しいだろうなとも思っていました。これだけ「最新の技術」「トレンド」として位置付けされてしまったら、どうしても「社会的意義」みたいなものを求められる。内に閉じこもるなんていうのは許されないんだろうなと。

 

しかし、だからこそ、私は最初驚いたのです。本当に意外だったから。そして驚きのあとは、「流石NHK!」という気持ちになりました。なんかいつかの誰かのTwitterの投稿で見ましたが、NHKは平均人に合致したものより、少数のオタクの心をくすぐるのがうまいと思います。

司会の小田切アナ、謎(?)の役回りのグランドマザーもいい具合にVtuberの面々と接していて、観ていてとても安心しました。すごく満足しました。

 

 

で、本題なのですが、私は今回の『バーチャルさんはみている』も、こういうぬるい、オタクにだけ通じて、安心して観られる感じのものだったらいいなと思っていました。それがドンピシャできたわけですから、その嬉しさたるや。

詳しく内容を見ていきましょう。

まず先に、今回微妙だった点を先に言っておきます。私も別に言いたいことが無いわけではないです。

今回気になったのは、2点あります。まず、ゲーム部の面々です。「演劇部」と称され、その「過激」な「日常」動画と確かなゲームの腕前が評価されており、私も大好きなのですが、やはり得意の過激ネタとゲームの固有名が封じられると痛いですね(わかりやすく言うと、弱酸性ミリオンアーサーがテレビ放映された時みたいな話です)。オープニング後のトップバッターということで期待が大きかっただけに、やや残念でした。今後に期待したいところです。

2点目に気になったのが、やっぱりメイン6人は多くね!?ということです。会話がすごくテンポよく進むのでほとんど気にならないのですが、最後のお便りのコーナーのグダグダ加減だけは、うーん、なんとも言えませんね。そのグダりぐあいも含めてVtuberだろと言われると返す言葉もないですし、今後人数が減ることも考えにくいですから、これはこちらが慣れていくほかなさそうです。

 

さて、批判めいたことはここまで。ここからはひたすら「ここ好き」ポイントを言っていきます。

①ケリンとヒメヒナ 夢の共演

ぶちとばでお馴染みケリンさんといえば、癖の強い2D画が特徴ですが、いっぽう、ヒメヒナはぬるっぬる動く3D。この二組が邂逅した瞬間は、普通に面白かったです。サプライズでケリン3D化かなと思っていたのですが、無理に合わせるのではなく、違いを活かして新たな表現方法で描くっていうのはいいなあと思いました。

 

②ミライアカリさん大活躍

昨年大晦日に待望のオリジナル曲を発表した(できればクールな曲も今後聞いてみたいですというのは私の願望です)我らが四天王の一角ミライアカリさんですが、勢いそのままに、『バーチャルさんはみている』でも大活躍。個人的にはヒメさんとお悩み相談するところが気に入っています。

2人は既にコラボ動画がある(ヒメヒナで出てる)のですが、この時は奥行が無かったので、それがあるだけでちょっと感動でした。

ヒメヒナ×ミライアカリhttps://youtu.be/vMsJzAQcac8

ちんちくりんのヒメと手足の長いアカリおねーさんは、どちらも凄く激しく動き回るので、観ていて飽きません。イケボ、別人格(アカリさんにはココロヤミという別人格が元々あります)など、随所で光る技やネタがとても良かったです。多彩な方だなという感を一層強くしました。

 

③剣ちゃん登場

剣ちゃんこと剣持刀也さんが、委員長の2択クイズで登場。Bの選択肢がかの有名な「わたくしで隠さなきゃ」なのはもちろんですが、たぶんAの方(「親が酔って乱入」)も委員長と剣ちゃんの「親子関係」ネタだと思うんですよね。

「親子関係ってなんだよ」という方へ、例えば親子ラップ対決

 https://youtu.be/FfjZmhu3GQY

これも面白いところで、たぶん剣ちゃんはそれを理解したうえでAを選んだと思う(根拠は無いですが、彼は頭がいいので)のですが、結局それは不正解で、しかもなぜBが答えなのかを解説されず終わってしまうという、なんともモヤッとした終わりになりました。この茶番はどういうことなんだろうと私も考えていたのですが、もしかするとこのモヤッと感を出したかったのかなと思いました。そしてそう考えると、『バーチャルさんはみている』は、私が安心して観ていた「バーチャルのど自慢」からも少し変化しつつあるのかなと思ったりしました。

 

どういうことかというと、既に言ったように、「バーチャルのど自慢」はVtuberのオタクが安心して観られる空間だったわけです。でも、それは内に閉じこもってしまうことの裏返しでもあります。これも言いました。

でも、『バーチャルさんはみている』は、オタクの期待すら透かしていこうとしている感があります。初見どころかビギナーくらいは余裕で振り落とすネタを乱発し、初回からフルスロットル。ネタ自体はそれほどコアなものは無かったと思うのですが(私が気づいていないだけかもしれません)、「Vtuberを追っている」といってもシロちゃんだけとかにじさんじだけとかいう人がさして珍しくない(言うまでもないかもしれませんが、四天王やヒメヒナは動画中心、にじさんじは生配信中心というふうに、「Vtuber」とひとくちにいっても、コンテンツの提供のスタイルが色々違います)今では、浅く広く知っているというのはそこそこ難しい気がします。「内輪ノリだ」と批判されますが、「内輪」であるはずのオタクも把握しきれていない部分があって、むしろそれを利用しているのではないかと私は思いました。そしてそれは、Vtuberを単に世間の見世物にするのでもなく、オタクの嗜好品にとどめるのでもなく、その視線からずらしてディープなところへと潜っていき、Vtuberの内側から限界を突破していく方法だったのではないでしょうか。

「だったのではないでしょうか」と言ったもののまだ1話ですし、まだまだ分からないことは沢山あります。でも、「ウケ狙いが失敗した」にしてはあまりに不安定で、その意図するところがまるでわからないことが(オタクから観ても)あまりに多い。恥ずかしい(共感性羞恥)というか、シンプルに分からない。その分からなさ、闇鍋っぽさを楽しめる人には、普通におすすめできるんじゃないかなあと思ったりしました。みんな可愛いしね!